ココ最近は俺より先に寝床で丸まって寝てることの多いさくら13歳。人間だと68歳相当なんだと。今までずっと大好きな煮干しを制限してたけど、そろそろ食べたいものを食べてもいいよね。もちろん管理下に置くのは当然、猫っ可愛がり溺愛だから仕方がない。俺と同じだけ生きてくれよと毎日のように話しかける。

気がつきゃ俺も立派な孤独老人の仲間入りだ。まあ、そうは言ってもお互いに好きなもの食って呑んで好きなことやって未練を毎日垢のように落として身軽でいこうぜ。弟であり息子でもあるこいつは数少ないファミリーの一員。まだまん丸の毛玉みたいなのが金胎寺の石段を転がるように降りてきて、下で受け止めようとした俺の掌にちょこんと収まった。目が開いた開かなかったくらいでミィミィ鳴いてたこいつを両手で抱きしめ家の下まで連れていき、ちくわを千切って食わせたっけな。ちっちゃくて脆くて儚いサバトラの毛皮ボールが、こんなに育ってくれたんだ。さくらが来て13年、俺は外へ飲みに行くことをしなくなり。まっとうな人生を遅まきながら歩みかけている。